2009年4月に、ファミリーホームが事業化 する形で法定化されました。

 制度化の翌年の2010年2月に、 広島県内で初のファミリーホーム、

 稲垣ファミ リーホームを開設しました。

 6人の子どもと管理者 と養育者、それに5人の補助者(職員)で運営しています

  

  日本の里親委託率は、先進国でありながら世界的にも低く、施設偏重の国の政策に、国連・ 子どもの権利委員会から勧告を受けたにもかかわらず変わりませんでした。

 以前から私はこの現状 に憤りを感じていました。  

 ファミリーホームが制度化される以前に、 「ファミリーホーム全国連絡会」に籍を置いてい た私は当時の会長と共に厚生労働省や、厚生労 働省委員の国会議員たちに里親制度の拡大を訴 えてきました。時には衆議院会館に赴き、国会議 員に要望書の提出や対談をしてきました。

  他のメン バーや顧問の活動もあって、ファミリーホーム の会が出来て4年後には、ファミリーホームが 制度化されました。 そこで私は、早速ファミリーホー ムを開設するために県に申請書を提出し翌年の2月1日に稲垣ファミリーホームを開設しました。

 

 同年2月10日に小村和年呉市長が,我が家へお祝いに駆けつけてくださいました。

 

 稲垣ファミリーホームに多くの方が見学においでになったり、政治家が視察に来られたり、マスコミの方々が よく取材にいらっしゃいます。

   この方たちが発せられる言葉は異口同音に「普通の家庭じゃないですか」です。

  ハイ!そうなんです。 稲垣ファミリーホームは普通の家庭なのです。

 

「社会的養護とは」

  『すべての児童は、家庭で正しい愛情と知識と技術をもって育てられ、家庭に恵まれない児童には、これにかわる環境が与えられる。』とは、児童憲章の言葉です。

  また、児童福祉法第2条は、『国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。』と規定している。

 いうまでもなく、子どもは、親のあたたかい愛情のもとで家庭生活を経験しつつ育っていくことがもっとも望ましいが、世の中には親のいない子どもたちや、たとえ親がいてもいろいろな事情、さらには不適切な養育、虐待等によって、ともに暮らしていくことのできない子どもたちが大勢います。

  こうした家庭環境を奪われた子どもには、家庭に替わる養育環境、さらには、不適切な家庭環境の下で子どもたちが蒙った心身の痛手をケアしていく環境が用意されなければならない。このような目的のために社会が用意した養育環境の体系を、社会的養護と呼びます。

 

『「社会的養護の下にある子どもたちの最善の利益とはなにか?」

  それは、たとえ子どもを家庭から切り離すことがあったとしても、できる限りあたりまえの生活を奪わないことである。』と、柏女霊峰教授は言っておられます。

  

 つまり、家庭における養育を奪われた子どもに家庭養育を提供することはあたりまえのことであり、子どもたちが「あたりまえの家庭生活」を体験し、夫婦として、親としてのありのままの生活」を間近に見ることによって、「育てられる者」からやがて「育てる者」へと成長していくことができるということです。

  

 当ホームの特徴は実親さんとも よい関係作りを心がけていることです。

   子どもと実親と関係を取り持ち、いつか実親さんが引き取れる時期がきたら,こどもの意思を尊重しつつ再統合のお手伝いをしていきます。

  子どもにとって最善は何か!を考えつつ、職員一同心を一つにして頑張ってまいります。

 

 そのためにも、子どもの生活の質の向上に資するのみならず、地域住民に社会的養護に関する深い理解をもたらすことができ、社会的養護を地域に開かれたものとすることができるよう日ごろから地域に溶け込み、情報発信をしていきたいと思います。

  また行政機関とも連携を取り合い、また各施設とも情報交換等連絡を密にし、地域ぐるみで、社会全体で子どもを育てるというスタンスでより良い稲垣ファミリーにしていきたいと思っています。

  

「社会貢献」  

  社会的養護児童は実親を当てにできない分、 一人で生きていく力をつけなければなりません。

 支援の仕方にもいろいろありますが、お金の支援以上に関係機関と連携を取りながらの自立支援が 重要だと思います。  

 私には同じ志を持つ友人がいます。

  その方は、 テレビ番組でも紹介されたことのあるカンボジ アのノリア孤児院の子どもたちを自立支援して いる岩田亮子さんです。  単身カンボジアに移り住み、現在、私財を投じながら子どもたちの先生であり母であり子どもたちの自立援助に力を注いでいます。

 稲垣ファミリーホームも、毎年カンボジアのノリア孤児院の 子どもたち数名を招き、数日間宿泊していただき我が家の子どもたちと交流をさせています。

 カンボジアの子どもたちは、日本の学校(校長のはからいで)授業と給食 を体験、ポルポト政権時代の負の遺産で充分な教育を 受けられていないカンボジアの子どもたちにとっても 日本の教育を知ってもらい、また我が地域 の小中学生にも遠い存在だったカンボジアを身近 に感じてもらっています。

また当ホームの子どもたちもカンボジアに行って、カンボジアの子どもたちと関わり、日本が 如何に恵まれているか!

 反対に、カンボジ アの子どもたちと交流することでカンボジアの 子どもたちのピュアな心に触れて物資的に貧しくても心の豊かさやカンボジアの良さ、平和の 大切さを現地に行くことで肌で感じ取って帰ってきています。

 社会的養護児童には、ともすれば不遇な生い 立ちや環境を怨み、社会を怨み、成人してもニートやホームレスになっている人を見聞きします。  

  しかし、我が家の子どもたちは幸いにも、近隣地域の多くの支援者を始め、国内はもちろんのこと 呉市国際交流センター元職員のおかげで広島県内の小・中学校のアシスタント・ティーチャーを はじめ、諸外国の人たちとの交流があります。

 時折、我が家に来てくださり英語や韓国語で子どもたちと遊んでくださいます。

 子どもたちも彼らが来るのを楽しみにしています。  

 

 また、毎年 開催地を変えてのファミリーホームの全国研究大会には、その都度 子どもたち全員を連れて行って見聞を広げています。  

  

  そうした多くの支援者のお陰もあり、開かれたファミリーホームとして密室にならない環境になっています。

  

3名の発達障害の専門家の方々の他に2名(計5名)の第三者委員を設置しており、子どもたちが いつでもSOSを発信できるように心がけています。

  

実親さんとの関係もよく、お互いが協力し合って子どもたちを育てています。

  その おかげで、どの子もたちも明るくて優しくて、おおらかで、おもいやりのある子に育っています。

 

 

                                    稲垣ファミリーホーム管理者:稲垣 りつ子